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読書感想文
政府は、国民主権が嫌いなのです.
官僚は、国民への奉仕者なんかではない.
大臣は支配者であって、国民よりも偉い.
そう思っているのです.
では、その正当性は誰が与えるのでしょうか.
そこで政府は、万世一系の神である天皇に正当性を求めたのです.
神州日本は、天皇の国である.
そして自分達は、天皇の官吏であり、任命された大臣である.
よって、国民は天皇の代理人である官吏や大臣の命令に黙って従え.
まあ、そう云うことですね.
政府は国民を都合よく操るために、日本は万世一系の天皇によって支配されているのだ、と教育してきたということですね.その中のひとつとして教育勅語があったのです.
●ちょっと引用してみます.
(P024)・・・小学校の修身教育は、ある意味教育勅語の文言を理解するための準備であり、その精神を感得することで仕上げになるといえる・・・
しかし教育現場では、教育勅語は専ら児童生徒を服属させるための道具として用いられるようになっていく・・・
(P232)・・・民衆に架空の記憶や神話を植え付けた構造そのものについて考えていく場合、教育の問題(特にすべての日本人に共有された義務教育課程のありよう)は何より重要だ・・・
すべての日本人が共有していた義務教育課程で「少国民」に施されていたのは、「日本いい国、強い国」といった耳触りのいい物語であり、「事実」を探究するよりも「あるべき姿」を信じることに重きを置いた教育だった.
昭和恐慌後、しきりに「躍進日本」がいわれるようになり、頭書は「安くて優れた日本製品に世界が注目」と宣伝する経済中心のスローガンだったものが、次第に大陸進出、精神主義の誇張、日本不滅論の言葉へと転じていった・・・
さらに修身教育が、「正直」を徳目に数えつつも、真実探究に目をつぶったうえでの「公共」への奉仕をより強く強いて説いていたのは、実に痛ましい事だったと思う・・・
●引用を終わります.
万世一系とは、神武天皇の業績が現代まで続いている、と云う主張のことですね.
日本書紀に依れば、むかし日本には兄猾弟猾や兄磯城弟磯城や長髄彦などと呼ばれた原住民が住んでいました.
そこへ突如、神武天皇が兵隊を引き連れてやって来て戦争を仕掛けて、勝ちました.
神武天皇は、日本を自分の縄張りにして、負けた側を支配しました.
それが、公地公民になるわけですね.
そして、この神武天皇の血統が現代まで継承されているので、現代日本も天皇の縄張りであり、国民は今も天皇の所有物であると云う理屈になるわけです.
まあ、この理屈に立憲君主制などと、戯言のような名称を与えてあたかも正当性があるかのように見せかけているのは、余りにも下らなさ過ぎて、馬鹿馬鹿しいと思いますね.そう思いませんか.
それにしても、普通の一般国民は心の中でも本当に君主制で嬉しいと思っているのでしょうかねぇ.
(了)
―― 奥付 ――
読書感想文『帝国化する日本(長山靖生)』
著者:茜町春彦
概要:本を読んだ感想です.
読んだ本の題名: 日本が壊れていく(2018年9月10日初版、斎藤貴男、ちくま新書)
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