1 「090」と「080」

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「はあ、ありがとうございます……」 しょげた声が、淡く苦笑を浮かべる。 そして、更に「すみません」を数回重ねた見知らぬ相手との会話は、 程なく切られた。 真友子は、にわかな繋がりの切れた手の中のスマートフォンに、 ちょっと目を落とした。 そして、なんとなく呟く。 「なんか、変な間違い電話」 しかし、悪い印象は残っていない。 いや、むしろ相手の素直さというか、人の好さがすごく伝わってきて、 心の隅がホコッと温もりさえも持っている。 そして、スマートフォンをそっと目の前のローテーブルに戻して、 やっぱり思う。 見付かるといいけど。 しかしこの時は、まだこのいたずらに繋がった細い糸が切れていないとは 更々思ってもいなかった。
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