91人が本棚に入れています
本棚に追加
「はあ、ありがとうございます……」
しょげた声が、淡く苦笑を浮かべる。
そして、更に「すみません」を数回重ねた見知らぬ相手との会話は、
程なく切られた。
真友子は、にわかな繋がりの切れた手の中のスマートフォンに、
ちょっと目を落とした。
そして、なんとなく呟く。
「なんか、変な間違い電話」
しかし、悪い印象は残っていない。
いや、むしろ相手の素直さというか、人の好さがすごく伝わってきて、
心の隅がホコッと温もりさえも持っている。
そして、スマートフォンをそっと目の前のローテーブルに戻して、
やっぱり思う。
見付かるといいけど。
しかしこの時は、まだこのいたずらに繋がった細い糸が切れていないとは
更々思ってもいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!