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そして、答えを保留にしたまま、彼は海外へ。
その半年後、今度は大学時代の先輩から今の人材コンサルティング会社への
誘いが掛かった。
まだ二十代半ば。
「結婚」ということに現実味は帯びてきていても、その頃の真友子には
「大人になった自分」を探す魅力のほうが勝った。
その結果、彼氏とは破局。
それでも、寂しさよりも新たな仕事の面白味のほうが遥かに大きかった。
そして夢中になって仕事をしている内に、三十半ばでプロジェクトチーフに
昇格。
それから三年経った今では、部下を七人抱える小隊長といったところだ。
そんな風に、社会のキャリアは順調に積まれる一方で、恋愛や結婚は
どうしても二の次になった。
もちろん別に、それらを否定するつもりも、してきたつもりもない。
しかし、恋愛まではまだ上手く運んでも、いざ結婚となると出産と育児は
セット条件となる。
だが、これをキャリアと同時進行させるには、男性側の理解がかなり必要に
なるのもまた現実。
だから真友子は、プロジェクトを任されるようになった34を境に、
これらの事はすっぱりと自分の人生から切り離した。
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