1 「090」と「080」

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そして、答えを保留にしたまま、彼は海外へ。 その半年後、今度は大学時代の先輩から今の人材コンサルティング会社への 誘いが掛かった。 まだ二十代半ば。 「結婚」ということに現実味は帯びてきていても、その頃の真友子には 「大人になった自分」を探す魅力のほうが勝った。 その結果、彼氏とは破局。 それでも、寂しさよりも新たな仕事の面白味のほうが遥かに大きかった。 そして夢中になって仕事をしている内に、三十半ばでプロジェクトチーフに 昇格。 それから三年経った今では、部下を七人抱える小隊長といったところだ。 そんな風に、社会のキャリアは順調に積まれる一方で、恋愛や結婚は どうしても二の次になった。 もちろん別に、それらを否定するつもりも、してきたつもりもない。 しかし、恋愛まではまだ上手く運んでも、いざ結婚となると出産と育児は セット条件となる。 だが、これをキャリアと同時進行させるには、男性側の理解がかなり必要に なるのもまた現実。 だから真友子は、プロジェクトを任されるようになった34を境に、 これらの事はすっぱりと自分の人生から切り離した。
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