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私は、本当はお客さんとして生まれてきました。でも、いつのまにか店員です。
どちらでもいいのです、どちらでも私は笑うのです。でも私はこの家に、お客さんとして生まれてきました。そのはずなのに、誰もそれを覚えていません。私はこの世界のこの家の店員です。他はみんなお客さんです。いつのまにか、そうなっていたのです。
私はお客さんに一生懸命サービスします。私はできのわるい店員です。
どこでも同じでした。私とおなじセーラー服を着た人は、店員でありお客さんでもあります。でも、私は店員だけです。店員でしか、ありません。
みんな私をぶちます、お前は出来が悪い店員だと、家の人も、それ以外の所でも。
つらくなんてありません。
けれど、この店を見つけてしまいました。見つけてしまったのです。鏡の向こうの世界、鏡の女の子の住む世界。
鏡と向き合うと現れ――いいえ向き合わない限り、現れない世界です。これは、幸せでしょうか?それとも不幸せでしょうか……
――そっちで働きたいです、私は笑います。
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