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 ペアを組む相手は『第三賢者』である校長先生が決めるから、絶対だ。  はかない望みだとは思ったけど、もしかしたら女子生徒全員が憧れるオーギュ様とペアになれるかもしれない。そう思って一番のお気に入りフリルミニと、虹色星形プリントのオーバーニー(膝上長靴下)でバッチリ決めてきたのに。キャミだってレースの縁に金糸を刺繍して……。 「はぁあぁあ、ゆうべ徹夜で頑張ったのに」 「徹夜? 何か作戦でも立ててきたの? 無駄だと思うけど、聞いてやるぜ」  みぞおち目掛けて繰り出したあたしのパンチを、シロンはひらりとかわしてニヤニヤしている。さすがクラス一の運動神経、これで性格さえ悪くなければ女の子にもっと人気が出ると思うんだけどな。  月明かりも星もない、吸い込まれるような闇色をした黒髪を一つに束ね、少し大きな瞳が光の具合で緑に見えるシロン。噂では一七世紀のフランスから、賢者様が連れてきたらしい。  二十一世紀のアメリカで生まれたあたしからすれば、ずいぶんと昔の人になるんだけど、ここでは同じ十五歳。ひねくれ者で、乱暴で、口が悪くて、意地悪で、嫌なクラスメイトでしかない。共通するのは、あたしもシロンも賢者様が連れてきた『ひろいっ子』であることだけ。 「桃色猫組、出発しろ!」     
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