0人が本棚に入れています
本棚に追加
〔2〕
「おい、いつまで寝てるんだよ、このカボチャ頭」
「なななっ、なんだとおっ!」
あたしはシロンの悪態に跳ね起きた。
「ニンジン頭とか、トマト頭とか言われたことはあるけど、カボチャ頭だなんてひどいじゃないのっ!」
「あのなぁ、もうとっくに目的地にいるんだぜ? いつまでオネンネしてるつもりだよ、夜が明けちまう」
あわてて辺りを見回すと、どうやらここは墓地のようだった。
傾いた太陽に照らされた墓石が、湿った芝生に長い影を落としている。もう数分で真っ暗になりそうだ。それにしても、ううっカビ臭い。墓土臭い、暗くて静かで気持ちが悪い。候補生として魔法を習っていても、やっぱりお墓も幽霊も大嫌い。
「あー、あははははっ。でもシロンだって意識失ってたでしょう?」
「俺はおまえと違って、移動中に失神したりしないんだよ。もう十五分も無駄にしてるぜ」
むかっ、なによ偉そうに。マスタークラスにならなきゃ、移動中に正気でいられないのが普通なのに。
「ならもっと、早く起こしてくれればいいじゃない」
「おまえの間抜けな寝顔を観察してた、面白かったぜ」
最初のコメントを投稿しよう!