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 えええっ? なんたる不覚、十五分も無防備に寝顔を見られていたなんて。それもこんなヤツに。 「さて、それじゃあターゲットを探しに行こうぜ、カボチャ頭くん」  意気消沈したあたしは、返す言葉を見つけられなかった。  墓場を抜けて表通りに出た途端、家々の玄関にオレンジ色のカボチャ提灯が飾ってあった。シロンの言うとおり、ハロウィンのジャック・オ・ランタンはあたしの髪の色に似ている。思い出したくない嫌な出来事が、よみがえりそうになったあたしはグッと唇を噛んだ。  あたしの夢は、オーギュ様のようなプラチナブロンドになること。  オーギュ様は、賢者一族の正当な血筋のお方だ。魔術の成績もトップ、エメラルド色の優しい瞳、春の日差しのように柔らかく輝くプラチナブロンド。手の届かない所にいる方だけど、せめて髪の色くらい近づきたい。だって、そうでも思わなくちゃ、あたしが魔法を学ぶ理由が見つからないんだもの……。  黙ったまま歩くシロンは、どうやらハイスクールを目指しているようだった。あたし達の年格好からすれば、ハイスクールのハロウィン・パーティに紛れてターゲットを探すのが一番いい。この年頃の子ども達は夢や希望に溢れていて、将来性のある子が沢山いるからだ。     
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