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「いやっ、まだまだこれからよっ!」 「はぁ? おまえナニ一人でブツブツ言ってるんだよ、頭の中までカボチャになったのか? 目的地に着いたぜ」  しつこいカボチャ攻撃を無視して、あたしはハイスクール玄関口に立てられているハロウィンディスプレイのアーチを見上げた。コミカルなポーズを取ったゾンビ、妙にリアルな狼男、血まみれの手首、ボロボロのマリアベール(ウエディングベール)をかぶった蒼白い顔の花嫁。  普通の人間が想像して作ったにしては、まあまあ、良くできてるじゃない。  感心しているあたしを置いて、さっさとホールに向かうシロンを慌てて追いかけながら混雑した通路のコスプレした人波をすり抜ける。やっぱりシロンは女の子の目を引いてる、シロンが通り抜けた後に振り向かない子はいないもの。  ホールに出るとシロンは立ち止まって、いきなりあたしの腕を引っ張った。 「おまえ、俺の近くにいろ。ったく、もう少しその格好どうにかならなかったのか?」 「えっ、えっ? どういう意味よ」 「ちぇっ、とにかくあまり、変なヤツには近づくな」     
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