374人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
クラブ・ローゼンのクリスマス(アルフォンス×ベリアンス)
12月26日、23:45
忙しいレストランも無事に営業を終えて、フロアやキッチンの片付けも終わった。明日は久しぶりに休みだ。
「オーナー、お疲れ様です!」
「あぁ、お疲れ様。気を付けて帰るんだよ」
スタッフ達が帰っていくのを見送って、アルフォンスは苦笑してスマホを手にする。着信は、ないままだ。
アルフォンスには、恋人のような人がいる。
出会って半年、こちらから告白したのが二ヶ月くらい前。本来ラブラブな時期だが、色んな理由でそうはなっていない。
一つはアルフォンスの年齢だろう。30歳、そろそろ遊びの恋は終わらなければならない。実家や姉から「恋人くらいいないの?」というセリフが聞かれるようになった。
堂々と紹介出来る相手なら、面倒だし決める事もできる。でも、それが出来ない理由が、二つある。
ガチャ
ドアが開く音がして、ビクリとアルフォンスは振り返る。時刻は23:55。
そこに立っている人を見て、アルフォンスの胸は甘く切なく締まる。約束ギリギリの時間だった。
最初のコメントを投稿しよう!