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不幸が重なる事はある。だが、こうまで重なると確かにストレスが凄いかもしれない。
彼女がグラスの中を煽って、疲れた顔をしてカウンターに伏せた。可愛い感じの明るい元気娘が、今日はしょんぼり萎れている。
「もう私、ダメだ……上司変わった途端にいびられて。重箱の隅をほじくるみたいに荒さがして沢山の人の前で怒鳴り散らすしさ」
「あー、それは人間が大人げないね」
「仕事もの凄い押しつけて、自分は定時で帰りやがる」
「よしよし」
「仕事終わらせたってのにご苦労の一言もなくて、逆に『いつまで時間かかってんだ』って」
「……それ、完全にパワハラだよ」
どっちかと言えばその上司に問題がある。けれど、ランバートはそんなに心配はしていない。なぜなら昨今パワハラだ、セクハラだ、マタハラだと騒がれていてこれだ。訴えれば周囲だってこれを見ているんだから証言は取れる。上に訴えるべきだ。
「訴えなよ」
「逆恨み怖い……」
「ここまで来れば怖いもんないよ。このまま下についてるの? ストレスで太るよ」
「もう太りかけてるよぉ」
それは……何となく言わなかったのに。スリムな彼女の足が少し、ふくよかになった気がしていた。
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