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クラブ・ローゼンへようこそ(レイバン&ハリー)
ここは色んな世界が曖昧に重なり合った世界。
そこに建つ一軒のホストクラブは、今夜も上品な外観に柔らかな明かりを灯している。
この建物には入口が二つある。一つは女性客が、地下へ続くもう一つには男性が吸い込まれていく。その理由は、まぁ追々としよう。
一階の女性専用入り口に一人の女性が立った。身綺麗な三十代後半の彼女は少し慣れない様子で入店していく。
「いらっしゃいませ、お客様。当店は初めてでいらっしゃいますか?」
迎えてくれたのはとても安心できる笑顔の青年だった。
肩に触れる亜麻色の髪に、緑に黄色を混ぜた様な明るい色の瞳。女性的な柔らかさと美しさを持ち合わせた彼は、緊張に固まる彼女にニッコリと微笑んでいる。
「初めてなんですが……」
「畏まりました。初めての方にはまず、問診にお答え頂きたく思います。当店は少々癖のある者がありますので、できるだけお好みに合う者をつかせる為の事です。面倒とは思いますが、宜しいでしょうか?」
「あぁ、はい」
「では、こちらへ。私は案内を務めます、エリオットと申します」
丁寧に頭を下げたエリオットに案内されて、入口すぐのカフェスペースへと場所を移した。
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