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クラブ・ローゼンへようこそ(ファウスト×ランバート)
ここは色んな世界が曖昧に重なり合った世界。
そこに建つ一軒のホストクラブは、今夜も上品な外観に柔らかな明かりを灯している。
女性専用店舗の少し奥まった場所にはカウンターバーがある。銀髪のバーテンダー、ジェイクが好みに合わせて色鮮やかなカクテルを振る舞ってくれる雰囲気のいいそこは、軽いお喋りをオープンにするのに適している。
ランバートはそこで女性の相手をしている。二十代中頃のカナコは、今日とても荒れていた。
「もう、最低なの! どん底よ、なんなのよ!」
ここに来た時点でかなりお酒が入っていたらしい彼女は珍しくこんな感じだ。
普段はとても明るくて、よく笑って楽しげに話しをしている。それが今夜は酷い荒れようで、ランバートの顔を見るなり泣きそうになって縋ってきた。
「何があったのさ、カナちゃん。俺でよければ聞くよ」
「うぅ……彼氏とギクシャクするし、仕事でも上司がガミガミだし、女友達の愚痴を延々聞かされるし、元彼が彼女と別れたからより戻そうとかふざけた事で毎晩電話かけてくるし。それが原因で彼氏と大喧嘩したの!」
「あぁ……」
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