第16話:風雲児vs星帥皇 Round2

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   ヴォクスデンの作業車に後続し、ノヴァルナと彼に従うササーラにランは、麦畑から十分ほど走って、質素な家屋の前に到着した。  敷地こそ広いが、建物としてあるのは初期移住者用の平屋建て簡易住宅に、その住宅より大きなサイロ状の円柱形の倉庫。それに作業車用の車庫とそれほど大きくない物置が幾つかだけである。バイクから降りたノヴァルナはヘルメットを外し、それらの建物を見渡した。とても伝説のパイロットが住む地とは思えない…そんなノヴァルナの眼だ。 「さぁ、どうぞ。こちらへ」  作業車を降りたヴォクスデンは、ノヴァルナ達を住居へと案内した。作業車の方は同乗して来た人型ロボットが運転を代わり、車庫へ向かう。 「星大名のご当主をお迎えするには、些か質素が過ぎて恐縮です」 「いや。前触れもなくいきなり押しかけ、こちらこそ申し訳ない」  BSIパイロットであれば知らぬ者はいない“レジェンド”を前に、さすがのノヴァルナも腰が低い。とは言え、アポなし突撃ですでに充分失礼ではある。 「いえいえ。毎日ヒマしておりますので、客人はいつでも歓迎です」  そう言いながら先を行くヴォクスデンの背中を、ノヴァルナは見詰めた。初めて対面する伝説のBSIパイロットは、痩せて下がった肩と、やや前屈みの背中で隙だらけに見える。もし自分達が刺客だった場合、命を奪うのは容易いだろう。  しかし同時に、そんな命の奪い方をしても、暗殺者は汚名以外に何も得られはしない。そしてそのような汚名を、武人は求めない。もし名誉を得るために倒すのであれば、BSIの戦闘でなければ意味がないのだ。  扉が開けられ住居の中に入ると、そこは住居の外観と同じく質素なものだった。生活に必要なものは揃ってはいるが、高級そうなものは全く見当たらない。リビングにもソファーなどは無く、円形のリビングに合わせた円形のラグに、丸い厚手のシートが幾つか置かれていた。 「靴を脱いでお入りください。適当に座って頂ければ…」 「邪魔をする」  軽く頭を下げたノヴァルナは、靴を脱いでラグの上に上がる。足触りは良く、質素ではあるが、品質は注意深く選ばれているのが分かった。シートの一つに腰を下ろしたノヴァルナは、ササーラとランにも「おまえらも座らせてもらえ」と告げて座らせた。そこに上着を片付けたヴォクスデンもやって来る。  ノヴァルナ達の体面に座って背筋を伸ばしたヴォクスデンが、「さて、今日はどのような御用で?」と尋ねると、ノヴァルナは彼らしい物言いで、単刀直入に言い放った。 「俺は、強くなりたい」  
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