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アスティリアーナの眠りは深く、夜にマーサが起こしても起きなかったらしい。なんと、目覚めたのは次の日の朝だった。
「…………」
青ざめて、頬に手をやる。
「ま、まあ疲れていたのですから仕方ないですよ」
さすがのマーサも、呆れているようだが言葉には出さなかった。
ベッドで身を起こしたアスティリアーナは、大きくのびをする。
「昨日、昼食と夕食はどうしたの?」
「姫様が眠っていることを言うと、部屋まで運んできてくれましたよ。姫様の分は、起きたら頼むつもりでしたが、姫様が起きませんでしたので……」
マーサが言いにくそうに付け加えたので、アスティリアーナは思わず苦笑した。
「悪かったわ。……リギルも、部屋で食べたのかしら?」
「そりゃそうでしょう」
そう、と相槌を打ってアスティリアーナは息をつく。
一昨日の夕食で、サイラス卿はリギルを嘲笑した。さぞかし不快だったろうから、昨日はなかったと聞いてホッとした。
「朝食も運んでもらいましょうか。姫様、昼までに湯浴みを終えて身支度しなくては!」
「そうね」
眠りすぎてだるかったが、アスティリアーナはベッドから下りた。
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