白いキャンバス
全2/5エピソード・完結
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白いキャンバス

美術コンクールが近づいてきているというのに、私のキャンバスはまだ真っ白だ。それどころか、アイデアを書き留めておくためのスケッチブックにすら何も描かれていない。 ふと、灯里のキャンバスをのぞきみると、スカイブルーのワンピースを着たボブカットの少女が満面の笑みを浮かべていた。 「まだ見ちゃダメ!」と灯里が叫んだ。 「ごめんね、行き詰まっててつい…。」と謝ると、 「まぁいいよー」といつもの声で灯里が言った。 ホッとして、「完成楽しみにしてるね。」と言うと 「美絵のもねー!」と灯里は言った。 灯里のためにも描くんだ、とグルグル絡まった思考でいっぱいの脳に喝を入れた。 でも、やっぱりアイデアは浮かばなかった。 家に帰って、フォークにペペロンチーノをグルグルと巻きつけている時も絵のことばかり考えていたけれど、何が描きたいのか分からなくて、自問自答の繰り返しだった。
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