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「ここは夢の世界に違いないんだ・・・・・」
夢の中のはずなのにそれだけは確信できる。着慣れぬ登山服を触りながら周囲を見渡すと、辺りは濃霧に覆われていて1m先までしか視認出来ない。どうやらここは山道らしく微かに見える木々の奥からは動物の気配が全く感じられない。
私に登山の趣味はない。山は危険と言うイメージしかないので登ろうとは一度も思わなかった。登山服もグッズも持っていないし、どうやってこんな山奥に来たと言うのか。確か仕事が押して遅くれて忘年会のお店に入る記憶まではあるんだけど・・・、これはきっと飲みすぎて見ている夢なのだろう。
早く起きないか20分ほど佇んでいるが覚醒する気配が無い。頼むから誰か起こしてくれないだろうか。仕方ないので装備を確認しておくことにした。登山リュックの中身を確認する。
「ほらな。やっぱり・・・・」
早速夢である証拠が現れた。手のひらサイズの銃が入っている。たぶんデリンジャーと呼ばれている銃だろう、映画で観たことがある。主に暗殺や護身用の銃だった。確か装弾数も1発のはずだ。他は水と保存食・小型ナイフにマッチにお酒、懐中電灯にスプレーに細々としたアクセサリがあった。
小さいとは言え武器があるのは少し心強い。いつまで経っても濃霧はまるで晴れそうに無く、森は静まり返り何かがフワッと出てて来ても不思議ではないような。武器でも持っていないと心が折れてしまいそうだった。
しかし武器とは言っても1発分のみ、1回使えば終わってしまう。使ったことは1度も無いけど、たぶん撃鉄を上げて引き金を引くだけでいいはず。攻撃に使うのかあるいは・・・・。虎の子の1発を使う曲面がこないことを祈る。
「まるでゲームの世界のようだ・・・」
現実感が感じられず、ここからスタートしないと何もかも永久に始まらない無いような感覚。仕方ないので前に進んでみることにした。いずれ起きるはずなので夢の世界を試してやろう。
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