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デリンジャーを携えてしばらく進むも景色は変わらない。相変わらずの濃霧で近く以外は見えない。もしかして永久にここをさ迷うことになることはあるのだろうか、実は死んでいて死の狭間にいるとか。考えても仕方ないことだった、仮にそうだとしても何も打てる手はない。残された選択肢は前に進むぐらいだろうか。
「ふう。息切れだけは本物なのか?」
疲労や空腹も感じてしまうから始末が悪い。そこだけは夢とはとても思えなかった。夢の世界で夢のことをこんなにも意識できるだろうか。
「・・・・・・」
黙々と進んでいくと分かれ道に行き着く。この先レストハウスの看板があった。どうやら左の道に建物があるらしい。看板は劣化していて風見鶏のごとく向きが変えられる。本当にコッチであっているのだろうか。
考えても仕方ないことだが、とりあえず左の道を進むことにする。早くこの無意味な空間から出たものだ。せっかくの忘年会も無駄になってしまうからな。
しばらく進むと建物が見えてきた。
「ここがそうなのか・・・」
ほどなくして辿り着いたのは廃墟と化した山荘だった。昔は登山客のオアシスだったと言ったところか。今はボロボロでお化けが住んでいそうである。
「誰もいないのか・・・」
とりあえず扉を開いて中へと入っていった。
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