三丁目の郵便ポスト

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三丁目の郵便ポスト

バス通りにある古ぼけたカフェの角を左に曲がって、人気のない道路を家二軒ほど入ったところに、色あせた朱色の郵便ポストが立っていました。 四角い胴体の隅に貼られている「多機能型郵便差出箱T-3号」と刻印されたステンレスのプレートも、30年の日月を経て表面には曇りが浮かび、往時の光沢を失っています。 郵便ポストの上にはカメラなどのセンサー類やマイク、赤色灯などが収納された直径15センチほどのガラス製ドームがありました。T-3号の仕事は、右へ左へと休むことなくカメラを動かし、細い道をスキャンすることです。 秋も深まってきました。高くつづく群青色の空の中ほどには鰯雲が群れを成しています。雲のすき間から顔をのぞかせた太陽が、やわらかい光を路上に注いでおりました。 ポストの上では雀が3羽、互いに寄り添ってひなたぼっこを楽しんでいます。そのうちの1羽が、いい天気だねえと話しかけましたが、ポストは返事をしません。 カフェの建つ曲がり角とは反対側、左手奥の坂道へとレンズが向いた際に、異常を感知していたからです。
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