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「さて……」と、彼女は受付台に片肘をついて身を乗り出した。「先週のハントの報酬が、いまだ手元に届かない。なぜだ」  アクリル板の向こうの職員は平静を取り戻していた。 「お名前と、codeをお願いします」 「デュティ・プレイス。code;color。ランクAAA(トリプルA)」  デュティに続いて、顔にたっぷりの笑みを浮かべた女が彼女の両肩に手をおいてひょっこり横から身を乗り出して言った。 「ウルカ・ミズキだよぉ。code;sign。ランクはA」  男物のずいぶんくたびれた革のジャケットを着て、ただ動きやすいためだけにショートパンツの丈に切ったボトムス、髪もざっくりと切っているだけの殺伐としたデュティとは対称的に、ウルカはボアフードのついた真っ当なコートに、健康的な脚にぴたりと張り付いた膝上丈のパンツをあわせ、背中に垂れる髪はカラフルなビーズと一緒に編み込んでマフラーみたく首に巻き付けている。ファッションを楽しんでいるような女に見える一方でへらへらして口のしまりがだらしない。  銃を所持する女がもう一人いた。黒髪のロングヘアーの女。体のラインが際立つ裾の長いワンピースを着て、そのドレスには腿にまでスリットが入り、デュティやウルカにはない色気と、姉貴分な雰囲気を出していた。 「シャン・イー。code;flavor。ランクA」  シャンは、腰の後ろで二つのガンホルダーを下げている。デュティよりも小振りな二対一組の拳銃を携帯していた。そのガンホルダーをつかんで、ふわふわな白いワンピースを着た幼げな少女がシャンの後ろに隠れていた。 「ほぉら。ちゃんと自分の口で言わないと」  と、ウルカに促されて、少女は銀色の柔らかな猫っ毛をさらさらと指でなびって顔を隠し、シャンの横からちょっとだけのぞいてぽつりとつぶやいた。 「ティナ・ヴァンルード。code;taste。ランクAA(ダブルA)」  職員は台帳のような電子機器を操作して、宙に浮かび上がった文字と写真を確認した。 「認証します。代表はデュティ・プレイス様。組織名は<DUST(ダスト)>、で間違いはございませんか」  デュティは、コンコンと二度テーブルを指で打って応答した。
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