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親父はまだ寝ぼけている俺の腕をグイッと掴み、無理やり立たせ歩かせる。
「ちょ、待ってくれよ」
目は半開きでまったく覚醒しておらず何が起こっているか理解できていない頭と、眠気でふらふらとした足取りでここに連れてこられた。親父はポケットから鍵を取り出しドアを開けた。
「えっ、ちょっと待ってくれよ、ここシェルターじゃんか」
「時間がない、早く入れ。それと、これを忘れるな」
ドアが開くと、茶封筒を手に握らされ、そのまま無理やりシェルターに押し込められると、外から鍵をかけられた。拒否することもできず、ただただ、訳のわからないまま閉じ込められた。ドアが閉まる時に見えた親父の表情はとても険しいものだったのを覚えている。
渡された茶封筒を開けてみると、薬が30錠だけ入っていた。
『1回1錠 1日1回(時間を守れ)』
殴り書きのメモが輪ゴムで薬にくくりつけられていた。この薬がいったい何の薬かはわからないし、ましてやどのように効くかも、何のために飲んでいるのかさえわからなかった。それでも言いつけを忠実に守った。
薬以外でも疑問は絶えない。
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