オンディーヌウイルス

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 普通のシェルターに保管されている飲食物は三日程度のなのに対して、うちのシェルターは三十日の水と食べ物を備え、自家発電機能やネット環境、水洗トイレも備えていた。少し狭目のビジネスホテル程度の広さで、一時凌ぎのシェルターのはずなのに、どうしてここまでの設備が必要なのかと疑問に思っていた。きっと、親父は何かを知っていたのだろう。今となってはこの完璧なシェルターは計算され尽くされているとしか言いようがない。  シェルターに入って、やることがなかったのでとりあえず設置されていたPCの電源をつけた。幸いネットがつながっていたので、適当にネットや動画を見ながら過ごしていた。お気に入りのユーチューバーのゲーム実況動画を見て、飽きたらツイッターやSNSを適当にネットサーフィンしているとネットニュースが流れてきた。 「〇〇病院でインフルエンザによる死亡」  最初はこれだけだった。インフルエンザは高齢者に罹患したら死亡することもあるだろう。 しかし、翌日のニュースでは「全国各地でインフルエンザ」「インフルエンザ警報発令」「インフルエンザによる死亡例相次ぐ」と報じられた。よっぽど流行っているな。それにしても急だな。なんて思っていた。たかがインフルエンザだし、数日で落ち着くだろうと思っていたが、さらに翌日、政府が対策委員会を設置したと。そして、その翌日には議員の半数が死亡した。 あまりにも急に、しかも大勢の人間が死んでいった。 「死亡の原因はインフルエンザ? 新型ウイルス?」 「空気感染でパンデミック」 「医療従事者も感染。全ての病院は機能不全」 「総理大臣はシェルターへ避難」 「たった十日で日本人の三分の二が死亡」     
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