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「ウイルスは全世界に蔓延。二週間で世界人口が十分の一に」
あっという間に絶望は訪れた。ニュースは時々更新されるが、全て悪いニュースしかなかった。恐ろしいほど人が死んでいき、それがネットニュースで報じられた。死んだのは有名人だけではない。携帯電話も生きていたため、クラスメイトで作成したライングループから近況が流れてくる。最初に亡くなったのは俺の前の席の鈴木だった。同じクラスになるのは初めてだったけれど、席が近いということで最初に仲良くなった友人だった。休日には一緒に遊びに行ったり、鈴木の彼女と俺とクラスの女子とダブルデート的な事もした。夏休みだって同じ予備校に通っていて、大学受験も頑張ろうって話だったのに。
鈴木が亡くなった日は一日中泣いていた。そして、翌日にはクラスメイトが五人なくなり、さらに翌日には十人亡くなった。その時には泣く事はできなかった。涙が枯れ果ててしまっただけでなく、自分も死ぬのではないかという恐怖を感じていて悲しむ余裕さえなかった。
そして、シェルターに避難してから二週間後にはクラスメイトのライングループで生き残っているのは俺だけになり、三週間後にはネットニュースの更新も途絶えた。
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