序章

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 暗雲から光が差し込む。アルフレドの周囲が照らされる。かろうじて残った右目で見たもの。  焼き払われた戦士。  血塗れの格闘家。  槍に腹を貫かれた僧侶。  斧で体を両断された魔法使い。  弓兵が息絶え絶えにアルフレドのもとに近づいてくる。どうやら僕たちは勝ったようだと。魔女の呪いたる永遠の暗雲が消えたのがその証左だと。  アルフレドの右目から涙が出た。顔の左半分は焼け焦げており、左目はもはや何も見ることができない。白皙の美少年とも言われた面影は全くない。両手足は黒こげである。そして、仲間の死体。  戦友の命と自らの身体を捧げた勝利とは何なのだろうとアルフレドは消えゆく意識の中で思った。?
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