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リンデンス皇帝は、ロランの美しい『竜現体』の姿と異次元の強さを目の当たりにし、何より自分に対して力の一端を見せてくれた真摯な姿勢に対し、自らの完敗を認め謝罪した。
その後、ロランとリンデンス皇帝は、大きな風穴が開いた『融和の間』にて『気候変動を起こした場合、世界中に異常気象を発生させる事、気温を上昇させれば凍土が溶け凍土の上に建設された首都『ルキオン』を含むリンデンス帝国の建物の全てが地盤沈下してしまう事』を話し合い、ロランの農耕地にヒートパイプを使用し凍土を溶かすという提案を皇帝は『あっさり』承諾した。
話し合いも一段落しロラン達一行はまだ2週間ほどリンデンス帝国に滞在することから会談から5時間後に宴が催されることとなった。
宴ではロランとリンデンス皇帝は隣同士に座り、
「スタイナー卿、本日は客人のそなたに対して大変失礼な事をしてしまった。どうか許して欲しい…」
「いえ、こちらこそ。壁と天井に巨大な風穴を開けてしまいまして…」
と会話を弾ませていく。
「スタイナー卿、卿の事をロランと呼んで宜しいか?私の事はラグナルと呼んでくれ…」
「では、ラグナル皇帝。明日はヒートパイプの作り方を御教えしますので…」
するとロランの予期せぬ答えが返ってきた。
「それには及ばん。作り方を知ってしまえば我らは必ず他国に売りつけてしまう。我らには『職業神様の縛り』が効かないからな。ロラン殿の厚意を裏切ってしまう事になる。」
ロランはこの時、豪快だが義に厚い『漢』を皇帝に感じた。しばらくして酔ったリンデンス皇帝がロランに対して、
「ロラン殿、もし私が20年前に世界に進軍していたなら、我は世界皇帝になれただろうか?」
「ラグナル皇帝であれば、可能でしたでしょうね…」
ロランの言葉を聞き、ラグナルは毒気が抜けきった瞳で空中を見つめ、一言
「そうであるか…」
と呟いた。その皇帝の姿はロランに黄昏時の空を思い起こさせるのであった。
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