心臓外科医の休暇

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 神の手を持つと謳われ賞賛される心臓外科医のオレは休暇をとってアメリカ旅行を楽しむことにした。アメリカはニューメキシコ州、サンタフェのカフェで一人の女に出会った。その女は髪は金色、肌は緑色、北欧系を思わせる顔立ちだった。  女が言うには、 「わたしは地球外生命体です」ということだった。  やはり出たかと思った。  その女は小箱を取りだして言った、 「この薬を買いませんか?」 「ドラッグ?」 「この薬を一粒飲めば体の病気不調はすべて治り、二粒飲めば頭はさえわたり仕事ははかどり、三粒飲めば体が軽くなり宙に浮き上がり…」 「ちょっと待った」とオレは笑って言った、「あんたオレが誰か知っているかい?」 「あなたは世界屈指の心臓外科医です。若く有望な医師が世界中からあなたを慕ってやってくる」 「そのとおり」 「あなたはラッキーです。これは地球にはない薬です。四粒飲めば宇宙があなたに微笑む。わたしはあなたに必要なものがわかっています。だから買いませんか?」 「ノーノー、いやイエスイエス」とオレは言った、「あんたのいうその薬は地球にもあって、地球では覚醒剤という名で呼ばれてるんだ。それでいくらって、薬の値段は?」 「この薬は地球の覚せい剤とはちがいます」と女は言った、「覚醒剤は身体を駄目にします。この薬は体の不調を整え身体を強くします。地球の生老病死がなくなる薬です」 「オレをだまそうたって駄目だよ」  オレの年収、運用資産からして膨大な金額を吹っかけてくる。オレは慎重に言った。 「それで、その薬はいくらって言った?」 「いくらというのは、お金のことですね?わたしは金銭のことは一言も口にしていませんよ」 「じゃあ聞くとする」とオレは言った、「それを手に入れるには、いくら払えばいいんだい?」 「あなたは愛でこの薬を買うことができます」
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