10人が本棚に入れています
本棚に追加
〝君〟の住むまちから、ずーっと遠くにある大きな氷の島。
そこにはそれぞれ毛並みの違う5匹のなめくじらねこのきょうだいが住んでいました。
くじらのように巨大な体で、いつも冷たい氷の上をゴロゴロと転がっています。
ある日、〝海〟のように青い毛並みのなめくじらねこが言いました。
「この島の外にはどんな世界が広がっているんだろう? 僕はほかの世界を見てみたい」
〝草原〟のような緑の毛並みのなめくじらねこは不安そうです。
「でも、ボクたちの体は海水に触れるとちぢんでしまうよ」
対して〝お日様〟のようにオレンジの毛並みのなめくじらねこが安心させようと言います。
「こんなに大きな体なんだから、少しくらいちぢんでしまっても大丈夫さ」
〝雲〟のように白い毛並みのなめくじらねこも「それもそうだね、わたしもほかの国に行ってみたい」と答えます。
ニコニコとみんなの話を聞いていた〝花〟のように綺麗な毛並みのなめくじらねこは
「じゃあ、みんなで行ってきなよ。私はずっとここにいるから寂しくなったら帰っておいで。この氷の島で私の毛並みは目立つからすぐ見つけられるでしょう?」
と言ってくれました。
〝海〟〝草原〟〝お日様〟〝雲〟の4匹は〝花〟に
「ありがとう」とお礼を言って海に飛び込みました。
最初のコメントを投稿しよう!