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レイナの過去、彼女を守るために兄として側にいる事を選んだ深影。
複雑に糸の絡み合った関係を、陽から聞かされてから二週間。
いつも通り喫茶ロゼで働く遥の心には、今もまだ深い霧がかかったまま。
「陽さん。三番テーブル、アイスコーヒーのお代わりを頂きました」
「ああ」
「暑くなって来たせいか、アイスがよく出ますね」
「そうだな」
「そうだ……。ホールの方少し落ちついて来たので、玄関前の掃除してきますね。昨晩は風が強かったせいか、掃いても掃いてもどこからかゴミが迷い混んでくるんですよ」
「……ああ、頼む」
遥の中で起こる些細な変化に、気が付いていない体を貫こうとする陽の顔も、どこか浮かないものだった。
不安そうな眼差しで、彼女の背中を見送る。
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