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玄関から通りまで続く石畳の隙間を、熱心に箒で掃いていた遥の頭上に、弾むような声が掛けられた。
「……遥!久し振りね!」
「えっ……?」
くるりと振り返ると、踵の高い真っ黒なヒールが目に入った。
そこから視線をゆっくりと上に上げる。
ショートヘアーのその女性は、サングラスをちょこんとずり下げると、真っ白な歯を覗かせて笑った。
「ふふっ、私よ。私」
「……理沙ぁっ?何でここに」
「今度、お店に行くって言ったでしょ?ご自慢のコーヒー……頂きに来たの」
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