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「アイツがいなくなるのが、そんなにショックか?」  箸を置いた陽の声に、遥はハッと顔を上げた。  出会った頃よく見掛けた、感情の見えない無色な瞳がそこにはあった。 「……聞いていたんですか」 「聞こえてたんだよ。うちの店がどんだけ広いと思ってんだ」 「……陽さんは、何とも思わないんですか?今までみたいに会えなくなっちゃいますよ……」 「今だって頻繁に顔を付き合わせてる訳じゃない。それに……距離は問題じゃない……」  そこまで口にした陽は、目を伏せ、ふっと力無い笑みを溢すと、切なく響く声で続けた。 「こうして目の前にいたって……、今、遥の中に俺はいないだろ?」 「っ……」 「こんな簡単に遥の心が揺らぐ位なら……昔話なんてしなけりゃ良かった」
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