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 食事のほとんどを残し、陽は何も言わずに立ち上がると自らの部屋へと姿を消した。  テーブルを片付け、遥が部屋に戻ったのは十一時を少し過ぎた頃だった。 「……」  ぼんやりと生気の無い瞳で、遥は深影から受け取ったクリスマスプレゼントを見詰めていた。  いつまでも開けられずにいたのは、深影との思い出がまた濃くなることを恐れたから。  捨てられなかったのは、これが唯一、彼と過ごした時間の証明だったから。  包みをほどき、箱を開ける。    華奢なチェーン、三日月型のネックレス。その中央でダイヤモンドがキラリと光った。        
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