(19)

11/21
前へ
/413ページ
次へ
 いつか街で見上げた巨大モニター、その中で小雪に降られるMIKAGEが、広告塔をしていたものと同じ。 ──タイセツナヒトニ、シンジツノカガヤキヲ──  あの日聞こえたナレーションが、鮮明に蘇る。 「……大切な、人っ……」  遥は震える声で呟くと、まるで何かに急かされるように、携帯電話の画面を起動させた。  スピーカーから流れるコール音が二回半。 「……はる、か?」  彼の驚く声とは反対に、遥の声はやけに落ち着いていた。 「……今から、会いたい……」
/413ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2091人が本棚に入れています
本棚に追加