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仕事が丁度終わった所だったという深影とは、自宅マンション前で待ち合わせした。
部屋に上がる気は無かったのだが、ここでは目立つから……とニット帽を深く被る困り顔の深影に説得され、遥は人生で二回目となる彼の部屋を訪れていた。
「少し、散らかってるかも……」
そう言ってリビングの扉を開けた深影に続き、足を踏み入れた遥の目に、キッチン横に積まれた段ボール箱が飛び込んで来た。
日本を発つという噂は、やはり本当なのだろう。
そこから無意識に顔を背けると、遥は勧められるがままにソファーに腰を下ろした。
窓ガラスの向こう、キラキラと光る景色は以前と変わらない。
あの頃と変わってしまったのは、二人の関係だけ。
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