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「……また外国に行くって本当?」
落ち着き少し取り戻した様子の遥、ふぅっと一息着くと恐る恐る聞いた。
「……うん。本当だよ……。前から、薄々話は出ていたんだ。古い友人が、ロンドンでファッションショーの演出を手掛けていてね。手伝ってくれないか、って」
「でも……こっちにも時々帰って来られるんだよね?」
「どうなんだろう……。ヨーロッパを中心に、全国各地を過密なスケジュールで回るツアーらしくて……向こうに行ったら、しばらくは戻れないだろうって言われてる」
「そんなっ……」
眉をしかめ、ガクリと肩を落とす遥に、深影の温かみのある視線が送られた。
「世界を回るっていうのはきっと楽しいことばかりじゃない、むしろ壁ばかりで精神的にも辛い仕事になると思う。それでも、挑戦しようって思えたのは、遥のおかげなんだよ……?」
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