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「……あのね、遥」  互いに微笑み合い、和やかなムードが流れたのも束の間だった。  途端に表情を堅くした深影が、そっと口を開く。 「僕が日本を発つのは……明日だ」 「えっ……何を言って」  息が止まるかと思った。いつもの様に、冗談だと言って笑って欲しい。そんな、遥の願いも虚しく、突き付けられた現実は非情なまでに残酷だった……。 「二時半の飛行機で行く」 「っ……」 「本当は、一人じゃ心細いんだ。やり遂げられる自信だって無い。情けないけど……それが、本音なんだ」 「その事……レイナさんは、知ってるの……?」 「……言える訳ないよ。僕はいつだってレイの先を歩かなきゃ行けない。兄の格好悪い背中は、見せたくない」
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