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遥はバクバクと鳴る心臓を抑えながら、携帯をバックに仕舞い入れると急いで立ち上がった。
「陽ちゃん、なんて……?」
「下にいるって……直ぐに来いって……」
「はっ……。本当、察しがいいんだから……。陽ちゃんは」
「ごめんなさいっ……。私、行かなきゃ」
もつれそうになる足をこらえ、バタバタと玄関に向かった遥、その後ろを深影も追った。
そして、靴に爪先を滑り込ませる彼女の背中に声を掛ける。
「悪いけど……下までは送ってあげられないかな。今、陽ちゃんと顔を合わせると喧嘩になりそうだしね」
「深、かっ……」
後ろ髪引かれる思いで、最後に振り向きかけた遥の真後ろのドア、彼の腕がトンっと静かに置かれた。
「……明日、隣に遥がいてくれたら嬉しい。陽ちゃんは確かに大切な友達だけど……遥は、僕にとって特別だから……。だから、待ってる」
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