(20)

2/22
前へ
/413ページ
次へ
 翌朝、九時。喫茶ロゼの窓から見上げる空は皮肉な程に快晴だった。 「いい天気ですね」  白のブラウスにショートエプロン。ポニーテールに結った髪をさらりと翻し、遥はカウンター内に立つ陽にいつもと変わらない穏やかな笑顔を向けた。  まるで、何も無かった様にテーブルのセッティングを始める彼女だが、昨晩は 眠れていないであろう事、何気ない仕草の合間に時計の針を無意識に目で追っている事  全て、陽にはお見通しだった。 「遥、ちょっと」 「はい……?」  ちょいちょい、と陽に手招きをされ、遥は不思議そうに首を傾げると、言われるがまま彼の隣に並んだ。 「遥がここに来てから、約8ヶ月が経った」 「そう、ですね」 「俺が欲しい人材は、留守の間も安心して店を任せられる人間だ。よって、今からテストをする。お前がそれに見合うかどうかのな」
/413ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2090人が本棚に入れています
本棚に追加