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職場の昼休憩は一時間。カウンターに座った紗椰は、メニューの中でも一番手軽そうだったサンドウィッチを一口、それをコーヒーで流し込むと、ゆっくり視線を上げた。 「……喧嘩でもしたの?この間まで、あんなに仲良くやってたじゃない」 「家でも店でも……。毎日、顔合わせてりゃ色々とあんだよ」 「それにしても、こんな突然……」 「お互いに溜め込んでたものがある日いきなり爆発した。よく、あることだろ?」  ふっと、力無く微笑んだ陽を見詰め、一度離婚経験のある紗椰は、心当たりが無いことも無い、と妙に納得しそうになる。  が、その気持ちを直ぐに振り払い言う。 「そんなの絶対、嘘……。だって、今の陽は……あの時と同じ顔してるもの」
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