(20)

9/22
前へ
/413ページ
次へ
「漫画やドラマで、どう考えても主人公より魅力的だろって二番手が、いつも損な役割ばかりを追う理由が今よくわかった」 「はぁ?」 「自分の幸せより、相手の幸せを優先しようとする。はっきり言って陽は優し過ぎる……。それが、長所で短所。前に陽は変わったって言ったけれど、前言撤回。なんっ……にも変わってない!」  感情剥き出しに、大声を上げた紗椰を、陽はしばらくの間黙って見詰めていた。 「っ……!」  ハッとした様子で、いそいそとメガネを直す、彼女の律儀な仕草を見た瞬間、陽の口元に飾らない自然な笑みが浮かんだ。 「はっ……。お前も全然あの頃と変わってない。お節介だけど……いい女だよ」
/413ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2090人が本棚に入れています
本棚に追加