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 遥はバッグの中から、四つ折りの画用紙を取り出すとレイの前に差し出した。 「なに、これ……」  パラリと中を確認するレイの瞳が、僅かに揺れ動いた。 「宏太くんの目には、レイナさんがそんな風に見えているんですね。貰ったサッカーボールも、宝物だと言って大切そうに抱き締めていましたよ」 「……ふんっ……。別に、あんな安物捨てちゃっても構わないのに」 「ふふっ……」  手の甲で口元を隠し、控え目に笑う遥を、レイは横目で盗み見る。 「紙切れ一枚届けにきたわりには、ずいぶんと大きな鞄ね。なに、陽ちゃんに追い出されでもした……?」 「はい。その通りです」 「なっ……」  
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