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「深影の光は……確かに、綺麗で誰もが目を奪われる。吸い込まれるようなその美しさは、私にはやっぱり眩し過ぎた……。眩しさに目を閉じた私の、瞼の裏にいつもあったのは……日向のようにあたたかく、優しい……陽さんの笑顔でした……。もしも、許して貰えるならっ……」  カランッ、小さく鳴った金属音。  陽の強い力に抱き締められ、遥はそれ以上言葉を口にすることが出来なかった。 「俺も悪かった。酷いことを言って……。コーヒーだってすげぇ旨かったよ……。それに、遥を必要ないなんて思ったことも、一度だって無い……。でも、他の男に揺らぎかけた事は……簡単には許さない……。この先、一生こき使ってやるからな……覚悟しとけ」  ぎゅうっと全身を締め付ける甘い痛み。しっかりと、抱き返す遥の頬を涙が伝った。 「……好きです、大好きです……。この手を離さないで下さいっ……」 「……当たり前だ」
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