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次の役作りだろうか、黒い髪を肩の辺りまで切り揃えたレイの後方、深影はやれやれと苦笑いを浮かべた。
「レイナさんはともかく……なんで深影が……!?」
二人の元へ走り寄り、驚きを隠せずにいる遥の頬に、深影の指先が触れた。
「レイがね……教えてくれたんだよ。たった、12時間ごときの移動距離……困難とは言わないんだってさ」
「……12時間ごとき……」
「だから、僕達……遠距離なんかじゃないよ」
「ええっ……」
ブルーの鮮やかな瞳に見詰められ、たじたじになる遥の唇に、深影の親指が添えられた。
「ただいま……遥」
「……ただいま、じゃねえよ……さっさと、出ていけ……。そして二度と帰ってくるな」
「ええっ……それは酷いなぁ、陽ちゃん」
陽は、深影から遥を引き離すと、威嚇する猫のように目尻をつり上げた。
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