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ホームに到着した。新幹線の中では、慌ただしく清掃が行われていた。
「バカじゃないの」
「えっ?」
「逆だよ」
「‥‥逆って」
「‥‥一緒にいると、言っちゃいそうで、辛くて辛くて‥‥だから、逃げたの」
「‥‥何を、言っちゃいそうだったの?」
「‥‥だから、その‥‥」
「わたしも!」
「‥‥えっ?」
「好きだよ」
「だから、その、女同士の親友として好きとかではなくて‥‥」
「バカじゃないの。わかってるわよ。わたし‥‥青木のことだって、なんていうか、女子としてそういう言葉が必要なのかなって思っただけで、別になんとも思ってなかったし」
「わたしだって、シュウなんて‥‥」
「言っておくけど、わたしだってずっと、今の今まで我慢して死ぬほど辛かったんだからね‥‥男とか女とか‥‥他の人間なんてどうでもいいの」
乗車を促すアナウンスが響いた。
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