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その日の夜。
狼はいつものようにやってきた。
私は気恥ずかしくて、狼を玄関に入れないようにドアを少ししか開けない。
「君を好きな男に随分酷い仕打ちをするんだね。」
子供のいたずらを微笑ましく眺めるような目で私を見ながら言う。
「だって……。」
部屋に入れない理由が浮かばなくて考えていると、強い力でドアを開けられてしまう。
いつものように玄関でキスをして、その後で、
「やっと俺を好きになってくれた?」
そう聞いた。
私は、
「まだよくわからない。」
そう答える。
「もう君の中にヤツはいないんだろう?」
「うん。」
「じゃあもう遠慮しないよ。
君が頭で考えてわからないなら、身体に聞いてみるよ。」
そう言うとまたキスをして、唇を離すと今度は首筋にキスをした。
私はそれだけで立っていられなくなる。
狼に横抱きにされてベッドルームに連れて行かれる。
予想外の展開についていけない私。
そんな私をベッドに寝かせて、
「愛してるよ。」
そういう狼。
きっと狼は、私が狼を好きなことを知っている。
私が拒否しないことを確認するように、ゆっくりと私の服を脱がしていく狼。
その夜私達は初めて愛し合った。
とても甘くて熱い夜だった。
狼は最後まで優しくて、そして……素敵だった。
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