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送り狼はジェントルマン
私、東山 美優は、よく行く落ち着いた雰囲気のバーのカウンターで一人で飲んでいた。
気分は最悪。
すべてがどうでもいい。
消えてなくなりたい……。
だから今日はつぶれるまで飲むんだ。
顔なじみのマスターに話しかける。
「マスター。
私、今日はとことん飲みたいの。
私が酔いつぶれたら、タクシー呼んでこの住所に連れてってくれるように言ってくれない?
起こしてくれれば多分自分で歩けるから。」
そう言って住所を書いたメモとお金をカウンターへ置いた。
このマスターなら信用できる。
マスターは一瞬考えて、でもすぐに
「わかりました。」
と言って、メモとお金に手を伸ばした。
その時、私の後ろからサッとメモとお金を抑える手が表れた。
「こんばんは。
もしよろしければ私が送りますよ。
もちろん無料で。」
今年30才になる私よりいくつか若そうな甘いマスクの男性が私の隣に立っている。
知らない人。
だけど、なんとなく見たことがある気もする…。
このバーで会った事があるのかもしれない。
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