入れ替わり

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入れ替わり

 高校に入学して以来、理由の判らないいじめを受けている。  とりたてて目立つような振る舞いはしなかったと思うし、名前も見た目もごくごく平凡。人の印象に残るタイプじゃなから、それが理由だとも思わない。  多分、誰でもよかったんだろう。自分のストレス解消にたまたま選んだのが俺だっただけ。  でも標的にされた側は苦しむばかりで、毎日毎日、どうにかこんな生活が終わらないかと願っていた。  そうしたら、ある日、奇跡が起きた。  俺がいじめっ子のリーダーと入れ替わってる…?  朝起きて鏡を見た時は半信半疑だったけれど、登校した後の周りの反応で、間違いなく入れ替わっているのだと知った。  いきなりクラスの最下層から頂点に君臨した俺。…でも俺は驕らない。  理由も判らず入れ替わった相手と、ずっとこの先入れ替わったままでいられるとは考えられない。きっとどこかで元に戻る。  そう考えたから、いじめっ子になった俺は、周囲に迷惑をかけないような行動に出た。  とにもかくにも奇行を繰り返し、周りに不信感を持たさせて自分を落とす。  元々が威張っていた奴だから、あえて周りは何も言わないけれど、俺が同じことをしたら物凄くバカにされたり弄り倒されただろうな。  そんな真似事を延々繰り返していたら、クラスメイトのコイツを見る視線が変わった。  蔑んでる。嘲笑ってる。とにもかくにもバカにしてる。
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