1 JK、襲来

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 「水切りヨーグルト。コーヒーフィルターに入れて半日位置くと、安価いヨーグルトでも水分が抜けて濃厚になるんだ。ギリシャヨーグルトっぽいだろう?」 「ホントだー!面白ーい!瀬田さんってスゴイですねぇ・・・」 「マスターの受け売りだよ。そのシロップもその店のなんだ。紅茶のシロップなんだよ」 「メープルシロップかと思った!ホントだ。紅茶の味がする!」  面白い程に見る間に形を失っていくフレンチトーストを眺めながら、瀬田はつぶやいた。 「そのフレンチトースト、先輩も好きなんだ」 「お兄ちゃんも?」 「そう。先輩は余り甘いモノは食べないから『食事』仕様。ベースの卵液には砂糖の代わりに粉チーズを入れて、焼いたベーコンを添える。お好みで粒マスタードとメープルシロップとを付けて食べても美味しいんだよ」 「それって甘じょっぱくて、ゼッタイ美味しいと思う!」 「先輩は恐るおそる食べていたけどね」  あの時の秋川の顔を思い出すだけで、自然と口の端があがってしまう瀬田だった。  梨津がふと、思い付いた様に言った。 「もしかしてお兄ちゃんって、瀬田さんに料理とか任せっぱなしなんですか?」 「そんなことはないよ。食事は時間が空いている方が作る決まりだから。先輩の料理、食べたことない?シンプルで美味しいよ。おれは特に、けんちん汁とジャガイモが入っている焼きソバが好きだな」     
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