0 約束の逆襲

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0 約束の逆襲

 秋川の直属の上司は石本貞子という名前の、推定四十代の如何にもキャリアウーマン然とした女性だった。 陰で『石サバ』と呼ばれる程に自他共に厳しく、且つサバサバした人柄で知られていた。  初めはその、女性らしからぬあだ名に首を傾げた秋川だったが、石本の下へと配属されて三年目を迎え、見事に彼女の性格を言い表していると思うに至った。  今では、社内における『あだ名認定委員会』の存在を信じて疑わない秋川だった。  そんな?石本だったから、秋川は大抵の指示は納得した上で従うことが出来た。 「チョット、いい?」 「はい。何ですか?石本さん」  ちなみに、石本は役職名である係長で呼ばれることを嫌がる。 嫌がる以前に先ず、返事をしない。全く無視をする。  それが上司である課長や部長でもそうなのだから、徹底していると秋川は恐れ入るしかない。 「働き方改革って、知ってる?」 「・・・何の話ですか?」  わざわざ世間話をしに部下のデスクに来る程、石本は暇ではないし、変にまめでもない。 「秋川君、夏休み消化してないわよね?」 「九月ももう、終わりですよ?」 「だからよ。九月中だったら取れるから、ちゃんと消化して。あと二日残ってるでしょ?」     
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