インドア派

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私とカナデくんは新婚です。 ほやほやです。 田舎、いえ、とても空気の良い郊外の小さなアパートを借りて慎ましく暮らしています。 「春山さーん、回覧板でーす。あのねあのね、ひと月後の日曜日、町内の運動会があるんだわー!リレーの二十代の部に二人とも名前書いといたからー。カナデさんとリカさんってほら!」 「あのう、私たち二人とも三十代なんですけど……」 「二十代が三十代のとこに入ったら反則だけど、反対なら構わないの。あんたたちがとにかくうちの班じゃ一番若いんだから。でも、おたくのダンナさん、走れるかしら?ポキッと折れちゃわないかしら」 その気持ちは良くわかります。 カナデくんの見た目は、スーパーで安売りしてるもやしなのです。 けれども、やればできる子です。 「大丈夫です。あれで一応健康なんです」 「良かったわあ。よろしく頼むわね」 自治会長さんの奥さんは強引だけど、この過疎化では何もかもが大変なのです。 さて、カナデくんをどうやって説得するか、これは難問です。
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