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「ほら、こんなに青いよ、見て」
空を見上げ、無邪気に振る舞う女の中にも闇はある。
「こっちの空は眩しすぎて困る」
「ね、仕事は何をしてるの」
男は、意地の悪い気持ちになる。
「ヒモだよ。あんたみたいに弱った動物を放っておけない女は、時々いるんだ」
「知ってる。聞いてるのは本当の仕事よ」
朝の光と女の笑顔に目の奥がちかちかとして、男は瞬いた。
そろそろ勘弁してはもらえないだろうか、もらえないんだろうなと思いつつ。
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