一 『五感夢中の術』

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「って言うか、初恋なのか?」  「いかにも、この年まで女を知らん!」  貫斎は思った。こういう場合には、深追いせずに話題を変えようと──。 「で、彼女らはシスターにでもなったのか?」 「あぁ。正しくは、さらわれたあとで、軟禁中にシスターにされたのじゃろうがな」 「しかし、どうしたら出家するほど、あんなバッタモンに心酔するってんだ?」  自分で投げ掛た疑問に、貫斎は答えも自分で出した。 「──洗脳か?」 「あぁ」 「どうやって?」 「まぁ見ろ」  再び二人は、視線を眼下の大聖堂の床に下ろした。  調度そこでは、灯されたロウソクの火を挟んで、祥仙神父が優奈の前に立った所だった。  無論、彼らは壁画の中の貫斎と英斎の存在には気付いていない。 「シスター優奈、私を見なさい」  薄く開いた青い眼が、ロウソクの炎を映してキラと光ったかと思うと、低く怪しい声で祥仙神父は言った。 「五感夢中の術」  その途端である。優奈の眼がトロンとなって、自らタンクトップと、そしてホットパンツを脱ぎ捨て、眩しいばかりの下着姿となったのは──。
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